続・猟盤日記 ~no music no life 無音楽無人生~

世界中の音楽から厳選したオススメをYoutube等で引用しながら、まとめてご紹介。

高村光太郎 "智恵子抄"

レモン哀歌


そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光つレモンを今日も置かう

高村光太郎の有名な智恵子抄からの引用であるが、
中学か高校の先生に、このレモン哀歌で詠われているレモンは
光太郎が紀ノ国屋で購入したものだと教わった。


当時山梨県に住んでいた僕は、紀伊国屋書店はかろうじて知っていたが
青山のスーパーの事は知らなかった。


それを知ってか知らずか、先生は
「紀ノ国屋って云っても本屋じゃないぞ。」
とか云ってたのまでもしっかり覚えている。


だが、

今日、昼食の時に友達と話をしていたときに、
その話をしたのだが、誰も知らなかった。
てっきりみんなが知っている有名な話だと思っていたので
結構、拍子抜けだった

昭和13年 智恵子病没
昭和23年 東京・青山に初のスーパー「紀ノ国屋」開店

改めて調べたところ、歴史的に無理


でも、光太郎の家が千駄木であったことを考えると
レモン哀歌を書いた時点で窓際に置かれるレモンは紀ノ国屋で買ったのか

昭和16年 「智恵子抄」刊行

ということで、コレも無理

つまり、僕は10数年近くだまされていた事が判明した


やっばいなー。今までの人生で結構たくさんの人にこの話しちゃったよ

智恵子抄を買って読み直す